AI計算能力が足りない?SpaceXが月11億ドル契約、MU・MRVLに追い風となる理由

投資

AIへの投資はそろそろピークなんじゃないか。

最近のAI株を見ていると、そんな声も少しずつ増えてきました。

ただ、実際のAIインフラ需要を見ると、個人的にはまだ少し違う景色に見えています。

今回、新たに出てきたのがSpaceXの大型AIコンピュート契約です。

SpaceXのCFOであるBret Johnsen氏は、Goldman Sachsのカンファレンスで、新たなホスティング契約を締結したことを明らかにしました。

その規模は、

月11.1億ドル。

日本円に単純換算すると、とんでもない規模です。

しかも12月1日から開始予定で、年率換算すると約130億ドル規模になります。

もちろん、これは「130億ドルの売上が長期間確定した」という意味ではありません。

それでも、企業がこれだけのお金を払ってAI計算能力を確保しようとしていること自体、今のAI市場を見るうえでかなり興味深い材料だと思っています。

今回はこのニュースから、

・なぜ今そこまでAI計算能力が必要なのか
・Micron(MU)にはどう影響するのか
・Marvell(MRVL)にはどう影響するのか
・それでも注意しておきたいリスク

このあたりを、自分なりに整理してみます。

SpaceXが月11.1億ドル規模のAI契約

今回の発言があったのは、2026年9月10日に開催されたGoldman Sachs Communacopia + Technology Conferenceです。

SpaceXのJohnsen CFOによると、同社は9月に新たなホスティング契約を締結。

12月1日から、

月11.1億ドル

の売上規模になると説明しています。

年率換算では約130億ドルです。

契約相手については明らかにされていません。

SpaceXというとロケットやStarlinkのイメージが強いですが、現在は地上のAIコンピュート事業も急速に拡大しています。

Johnsen氏は、SpaceXが2026年末に目指している年間経常収益(ARR)1000億ドルについても、今回の新規契約によってさらに確信が強まったと話しています。

ここで個人的に気になったのは、

「誰が契約したのか」より「なぜ月11億ドルも払って計算能力を確保する必要があるのか」

という部分です。

AI計算能力は本当に余り始めているのか

AI投資については、

「さすがに投資しすぎでは?」

「AIデータセンターを作りすぎているのでは?」

という議論がずっとあります。

自分もここはかなり気にしています。

AI関連株を持っている以上、「AIだから全部強気」で見るのは危ないと思っています。

ただ、直近で出ている数字を見ると、少なくとも現時点では計算能力が余っているようには見えません。

たとえばOracle。

2026年度第1四半期のクラウドインフラ(IaaS)売上は74億ドルで、前年同期比121%増。

さらに同四半期だけで850MWものデータセンター容量を追加しました。

それでもOracleは、

AIクラウドのトレーニング・推論需要は供給より速く伸びている

と説明しています。

同四半期には30万基を超えるGPUをAIクラウド顧客へ提供し、新規AIクラウド契約も300億ドル超を獲得しています。

つまり、

AI需要が増える

GPUを増やす

データセンターを増やす

それでも計算能力が足りない

という状態がまだ続いているわけです。

そこへ今回、SpaceXの月11.1億ドル規模の契約が出てきました。

個人的には、「AI設備投資が続いている」という話よりも、実際に巨額のお金を払って計算能力を確保する顧客がいることの方が重要だと思っています。

AI計算能力が増えるほど必要になるもの

ここからがMUとMRVLの話です。

AIデータセンターというと、どうしてもNVIDIAのGPUに目が行きます。

もちろんGPUは重要です。

ただ、GPUだけ大量に並べてもAIデータセンターは動きません。

大量のデータを高速で処理するためのメモリー。

何千、何万というAIチップを接続するネットワーク。

さらに光通信、スイッチ、電力、冷却。

全部必要になります。

AIクラスタが巨大化するほど、

「GPU以外の部分」も同時に巨大化する

ということです。

ここが、自分がMUとMRVLを強気で見ている理由の一つです。

MUにはHBM・DRAM需要の追い風

まずMicron(MU)。

AIサーバーでは通常のサーバーよりはるかに大量のメモリーが必要になります。

特に重要なのがHBMです。

AIアクセラレータが高速で計算しても、必要なデータを十分な速度で供給できなければ性能を発揮できません。

そのため、AI計算能力の増加とHBM需要はかなり密接につながっています。

SpaceXの今回の契約が、そのままMicronへの直接受注になるわけではありません。

ここは分けて考える必要があります。

ただ、

企業が巨額のお金を払ってでもAI計算能力を確保している

という状況が続くなら、AIサーバー向けメモリー需要にとってはプラスだと見ています。

個人的には今のMUについて、

まだ強気です。

AI計算能力そのものが足りない状況であれば、HBMやサーバーDRAM需要も簡単には崩れないのではないかと考えています。

ただし、今後SamsungやSK Hynixを含めてHBM供給能力が大幅に増えれば、需給が緩んで価格が下がる可能性はあります。

なので自分は、

「HBM需要が伸びているか」

だけではなく、

「供給能力が需要に追いつき始めていないか」

も今後かなり重要だと思っています。

MRVLにはネットワーク需要の追い風

そしてMarvell Technology(MRVL)。

個人的には今回、MU以上に分かりやすい部分もあると思っています。

AIクラスタが巨大化すると、GPUやAIアクセラレータ同士を高速で接続する必要があります。

ここで必要になるのが、

高速Ethernet
光通信
光DSP
SerDes
スイッチ
カスタムAIシリコン

といった技術です。

まさにMarvellが強い分野です。

実際、Marvellの2027年度第2四半期のデータセンター売上は前年同期比46%増。

会社側も、

AI関連の受注は非常に強い

としており、2027年度・2028年度の売上見通しを再び引き上げています。

さらにConnectivity需要が強く、Custom事業についても2027年度後半から大きく加速する見通しを示しています。

AIクラスタが大きくなればなるほど、

「計算するチップ」

だけではなく、

「そのチップ同士をどう高速でつなぐか」

の重要性が増します。

自分がMRVLを強気で見ている大きな理由がここです。

SpaceXの契約が直接Marvellの売上になるわけではありません。

それでもAIコンピュート需要そのものがこれだけ強いのであれば、ネットワーク・光通信への投資も一緒に増えていく可能性が高いと見ています。

「AI需要が強い=株価が必ず上がる」ではない

ここはかなり大事なので書いておきます。

今回のニュースを見て、

「じゃあMUとMRVLを買えばいい」

という単純な話ではありません。

AIインフラ市場にはリスクもあります。

まず設備投資です。

Oracleだけでも巨額の設備投資を続けています。

AI企業やクラウド企業が今後も同じペースで何年も投資できるとは限りません。

AIサービスから十分な利益を回収できなければ、どこかで設備投資を抑える可能性があります。

さらにMUにはHBMの供給増加。

MRVLにはBroadcomをはじめとしたカスタムAIチップ・ネットワーク市場での競争があります。

NVIDIA自身もネットワーク・接続領域を強化しています。

需要が伸びる市場ほど競争相手も増えます。

なので、

AI需要が強いこと

と、

その企業が利益を取り続けられること

は分けて考えたいです。

それでも自分はMU・MRVLともに強気

ここまで色々リスクを書きましたが、現時点で自分は、

MUもMRVLも強気です。

理由はかなりシンプルです。

AI投資のニュースだけではなく、

実際のAI計算需要がまだかなり強い

と感じる数字が続いているからです。

Oracleは850MWもの容量を追加しても「需要>供給」。

そして今回、SpaceXでは月11.1億ドル規模の新しいAIコンピュート契約。

計算能力が増えれば、

MUにはHBM・DRAM。

MRVLには高速ネットワーク・光通信・カスタムAIシリコン。

それぞれ需要がつながっていきます。

もちろん、AI設備投資が永遠にこのペースで続くとは思っていません。

だから自分としては、

「AI需要が伸びているか」より、「需要の伸びが鈍化し始めていないか」

をこれから重点的に見ていきたいと思っています。

今のところは、ピークアウトを示す材料より、

「まだAI計算能力が足りない」

ことを示す材料の方が強い。

今回のSpaceXの月11.1億ドル契約を見て、自分は改めてそう感じました。

まとめ

今回のポイントをまとめると、

・SpaceXが新たなAIコンピュート・ホスティング契約を獲得
・12月1日から月11.1億ドル規模
・年率換算では約130億ドル
・OracleもAIクラウド需要が供給を上回っていると説明
・AI計算能力拡大はHBM・DRAM需要につながるためMUには追い風
・巨大AIクラスタでは高速ネットワーク・光通信が必要になりMRVLにも追い風
・一方でAI設備投資減速、HBM供給増、競争激化には注意

という内容です。

AI関連株は値動きも激しく、期待がかなり織り込まれている銘柄もあります。

だからこそ自分は株価だけではなく、

実際にAI計算能力へどれだけお金が流れているのか

をこれからも追っていきたいと思っています。

現時点では、MU・MRVLともに引き続き強気で見ています。

※本記事は個人の投資記録・考察であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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